『認知症でも心は豊かに生きている』長谷川和夫

『認知症でも心は豊かに生きている』
認知症の専門医の長谷川和夫さんが認知症になって書いた本です。
すでに、長谷川さんは2021年11月にご逝去されています。

私の母は95歳で他界しましたが認知症を患っていました。
家族もどう接していいかわからないのに、ほんとに身近な病気なんです。

私が印象に残った2つの項目です。

認知症の当事者としての気持ち

・認知症になっても別な人になるのではありません
自分が認知症になってみて認知症の人の本当の痛みを知ることができました。
でも、認知症になったら別な人に変わってしまったのではありません。
人間には多様性があり、いろいろな面がありますが、それは連続していて
昨日まで生きてきた続きの今日の自分が、そこにいるのです。

・認知症は不便ですが、不幸なことではありません
認知症になると、繰り返し同じことを話したり、道に迷うなど確かに不便なことは起こりますが、
まわりのサポートがあればなんとかなります。
喜んだり楽しんだりする感情はそのままで、その人らしく生きられます。

・記憶が抜けてもまわりの人が覚えていてくれます
自分がした行動を忘れて、今、ここ、しかハッキリしない状態が本人にあります。
でもまわりの人が自分のしたことを覚えていて、助けてくれるので
そんなに不安に思うことはありません。

家族の接し方

・診断や治療でなく「その人」を見ることです
その人中心のケアが大事です。
認知症の人と接するとき、まわりの方が何かしなくてはと、あれこれ働きかけてしまいがちです。
その人が何を求めているかを読み取って その人の声をよく聴き、尊重することが大切です。

・共感すること
かわいそう、などと思うのは上からの目線です。
同じ高さの目線でいてほしい。
軽んじたり、特別扱いしたりせず、寄り添うこと、語り合うことが大切です。

・役割を持たせましょう
何でもまわりの人がしてはいけません。
その人が一人ではできないことだけをサポートしてください。
その人なりの役割があり、ほめられることが生きがいにつながります。

母の場合は

母は長年一人暮らしで自分ひとりで生活できていました。
でも、できていないことに 私が気づいて病院に連れていったり
役所で手続きしたりケアマネジャーさんと相談したりサポートしていきました。

一緒に住んでいなかったので気がつくのが遅くなったりもしました。
高齢者住宅に移るまでの半年間 兄とふたりで暮らしました。

家族の接し方は、いろんな本を読んで ある程度わかっていましたが難しい面もあります。
家族もメンタルに打撃をうけるからです。
優しくできない自分に落ち込んだりしますが、母は都合よく色々な事を忘れてくれるので
じつはさほど気にする必要もないんだと気がつきます。
リセットです。
また一から頑張ればいいって事です。
でも、予想もしていなかったいろんなことが起こります。
介護はほんとうに大変です。

今、介護をしている自分や家族を褒めてください。
ほんとに頑張っているんだから・・。
辛いことがあれば、できれば誰かに話して心を楽にしてくださいね。
ひとりで頑張らなくちゃいけない状態はなくすように役所にも相談してください。

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